海外盆栽やろう 編集部

第10回世界盆栽大会2026クアラルンプール開催 — 初の東南アジア開催、「多様性の中の統一」テーマの全貌

2026年8月28〜31日、マレーシア・クアラルンプールで「第10回世界盆栽大会(WBC)」が開幕します。1989年大宮発祥の国際盆栽祭典が初めて東南アジアに舞台を移し、テーマ「Unity in Diversity」のもと世界1,000人超が参集する予定です。12歳で国風展史上最年少入選の「盆栽博士ちゃん」清水ちえりさんがアンバサダーとして大会をPR中。

中国式庭園に並べられた大型盆栽のコレクション展示 — 世界盆栽大会のような国際的な盆栽の祭典を連想させる格調高い空間
第10回世界盆栽大会は2026年8月、マレーシア・クアラルンプールのパビリオン・ブキジャリルで開幕する

「第10回世界盆栽大会(World Bonsai Convention 2026、以下WBC)」が2026年8月28日(金)から31日(月)にかけて、マレーシア・クアラルンプールの複合施設「パビリオン・ブキジャリル」を舞台に開催されます。世界盆栽友好連盟(WBFF: World Bonsai Friendship Federation)が4年に1度主催するこの国際大会が東南アジアで開かれるのは、1989年の第1回大会(日本・大宮)以来、37年の歴史で初めてのことです。テーマは「Unity in Diversity(多様性の中の統一)」。日本からは「盆栽博士ちゃん」の愛称で知られる清水ちえりさんがアンバサダーを務め、6月にはマレーシア国内のショッピングモールで盆栽ロードショーが開催されるなど、開幕2か月前のカウントダウンが始まっています。

「盆栽で世界平和を」— WBFFの誕生と37年の歩み

世界盆栽友好連盟(WBFF)は「盆栽を通じた世界平和」を掲げて1989年4月に設立された国際組織です。初代会長には日本盆栽協会会長・万青園主の加藤三郎が就き、アメリカの著名な盆栽家ジョン・ナカ(John Naka)やハワイのテッド・ツキヤマ(Ted Tsukiyama)らが創設に力を注ぎました。「世界の盆栽愛好家を一つのコミュニティとして結ぶ」という理念のもと、WBFFは今日100か国以上の加盟組織を擁し、毎年5月の第1土曜日を「世界盆栽の日(World Bonsai Day)」と定めて国際的な普及活動を行っています。

WBFFの主要事業が、4年ごとに世界各地で開催する「世界盆栽大会(WBC)」です。第1回の大宮大会には32か国から約1,200人が参加し、日本の盆栽が初めて本格的な国際舞台に立ちました。そこから37年——大会の歩みは、そのまま「BONSAI」が世界語になるまでの歴史と重なります。

第1回〜第10回 — 盆栽が旅した世界地図

世界盆栽大会はこれまで9回開催されてきました。日本・アメリカ・韓国・ドイツ・プエルトリコ・中国・オーストラリアと、文字通り世界を巡ってきた大会が、第10回でついに東南アジアに上陸します。

第1回(1989年)大宮 → 第2回(1993年)米国・オーランド → 第3回(1997年)韓国・ソウル → 第4回(2001年)ドイツ・ミュンヘン → 第5回(2005年)米国・ワシントンD.C. → 第6回(2009年)プエルトリコ・サンファン → 第7回(2013年)中国・金壇 → 第8回(2017年)日本・さいたま → 第9回(2022年)オーストラリア・パース(バーチャル形式) → 第10回(2026年)マレーシア・クアラルンプール。

なお、第9回大会(2022年)は新型コロナウイルス感染症の影響により、オーストラリア・パースでのリアル開催が断念され、史上初の「バーチャル大会」として開催されました。4年の雌伏を経た第10回は、世界の盆栽愛好家にとって待望のリアル復帰の大会でもあります。

テーマ「Unity in Diversity」— なぜ多様性が盆栽の核心か

第10回大会のテーマ「Unity in Diversity(多様性の中の統一)」は、現代の国際盆栽が向き合う本質的な問いを体現しています。盆栽は日本で体系化された芸術ですが、今では「BONSAI」として世界共通語となり、各国の風土・文化に溶け込んで独自の発展を遂げています。ドイツの愛好家はアルプスの固有種で縮景を作り、ブラジルではアマゾン流域の熱帯樹が盆栽に仕立てられ、韓国では「분재(プンジェ)」として朝鮮半島の岩山の造形美が反映されます。

それでも世界中の愛好家が共有するのは、「小さな鉢の中に自然の時間を凝縮する」という根本の美意識です。「Unity in Diversity」は、多様性を消すのでなく、それぞれの違いを認め合いながら一つのコミュニティとして結束しようというメッセージです。日本・中国・インドの文化が交差する多民族国家マレーシアがこのテーマの会場として選ばれたのは、偶然ではないでしょう。

盆栽博士ちゃん・清水ちえりさんがアンバサダーに

第10回大会のアンバサダーに就任しているのが、「盆栽博士ちゃん」の愛称で知られる清水ちえりさんです。清水さんは小学4年生のとき、2017年に開催された「第8回世界盆栽大会inさいたま」を実際に見て感動し、盆栽の世界に踏み込みました。その後、祖父から譲り受けた盆栽を大切に手入れしながら独学を重ね、小学6年生の12歳のとき、日本最高峰の盆栽展「国風盆栽展」に史上最年少で入選するという快挙を成し遂げました。テレビ番組に「盆栽博士ちゃん」として出演し、国内外での普及活動にも積極的に取り組んでいます。

2026年5月の「第43回大盆栽まつり」トークイベントでも登壇した清水さんは、「大宮盆栽村100周年と世界盆栽大会を通じて、盆栽の魅力を世界に広めたい」と語っています。2017年の大会に感動した少女が、9年後の次世代大会をアンバサダーとして支える——この美しい循環は、世界盆栽大会が持つ「盆栽で人をつなぐ」という本質的な力を象徴しています。

光と影で浮かび上がる真柏盆栽の樹冠 — 世界盆栽大会に集まる各国の名品を連想させる格調高い一品

6月のロードショーと外交 — 「BONSAI」がソフトパワーになる瞬間

大会本番の8月を前に、マレーシア国内では盆栽ムードが高まっています。マレーシア盆栽・水石協会(MBSS)は「MBSS WBC10 盆栽ロードショー」をクアラルンプール郊外のIOIシティモール・プトラジャヤで開催中(〜6月22日)。会場では盆栽作品の展示に加えてライブデモンストレーションとワークショップが設けられ、在マレーシア日本国大使館の四方敏雄大使も会場を公式訪問しました。外交公館のトップが盆栽のロードショーを訪問することは、「BONSAI」が日本のソフトパワーとして各国外交でも存在感を示している象徴的な出来事です。

豆知識 — 「世界盆栽の日」は5月の第1土曜日

「世界盆栽大会(WBC)」は4年に1度ですが、WBFFはもう一つの国際イベントとして毎年5月の第1土曜日を「世界盆栽の日(World Bonsai Day)」と定めています。この日、世界中の盆栽クラブや美術館が同じ日に展示・体験イベントを開催し、SNSでは「#WorldBonsaiDay」のハッシュタグが世界を駆け巡ります。実は「世界盆栽の日」の起源も第1回世界盆栽大会(1989年、大宮)の開催日を記念したものです。

つまり、2026年のクアラルンプール大会は「世界盆栽の日」を生んだ1989年の大宮大会の37年後という位置づけになります。日本が「盆栽」として世界に発信したものが、今や「BONSAI」として東南アジアの地に帰ってくる——その時間の往復に盆栽という芸術の深みを感じずにはいられません。

まとめ

「盆栽で世界平和を」という夢を掲げて1989年に大宮で始まった世界盆栽大会は、2026年のクアラルンプールで10回目を迎えます。東南アジア初開催・テーマ「Unity in Diversity」・日本最年少の国風展入選者がアンバサダーとして支える——この大会をめぐる物語は、盆栽が趣味の枠を超えて世界をつなぐ文化外交の象徴へと成長した軌跡そのものです。国内での関連イベントや展示会情報は「盆栽やろう」の[イベントページ](/events/)から、全国の盆栽美術館・盆栽園は[盆栽施設マップ](/map/)でご確認ください。松柏類・雑木など代表樹種の育て方は[樹種ガイド](/guide/species/)でご覧いただけます。

出典

  1. [1]10th World Bonsai Convention 2026 — Official Site2026
  2. [2]「第10回2026年世界盆栽大会inマレーシア・クアラルンプール」の大使(アンバサダー)が市長を表敬訪問します — さいたま市2023
  3. [3]Ambassador Shikata attended the MBSS WBC10 Bonsai Roadshow — Embassy of Japan in Malaysia2026
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