Species Guide
57 species
樹種ガイド
月別の「いつ何をすべきか」と「なぜそれが必要か」を、業界の標準的な指針に沿って解説します。5 大分類: 松柏 / 雑木 / 花物 / 実物 / 草もの
松柏
針葉樹・常緑。盆栽の王道で樹勢が強い。黒松・五葉松・真柏 等
松柏代表種アカマツ(赤松)
Pinus densiflora
黒松より繊細で優美な雌松。樹皮の赤茶色が魅力で女性的な印象。芽切りは黒松より弱めに行う。
松柏矮性イトヒバ(糸檜葉)
Chamaecyparis pisifera 'Filifera'
サワラの品種で、糸のように細く垂れ下がる葉が特徴。樹高が伸びにくく、ヒノキ科の中でも繊細で柔らかな印象を持つ。小品盆栽の素材として古くから人気。
松柏寒冷地原産エゾマツ(蝦夷松)
Picea jezoensis
北海道産の松柏。針葉が短く密に付き、白っぽい新芽が美しい。寒地性で関東以南では夏越しに注意。芽切りは不要、芽摘みで節間を詰める。
松柏代表種クロマツ(黒松)
Pinus thunbergii
盆栽の王道。樹勢が強く、芽切り・芽摘みによる葉の短小化が腕の見せ所。日当たりと風通しを好む。
松柏代表種ゴヨウマツ(五葉松)
Pinus parviflora
盆栽の銘木代表。黒松より繊細で穏やかな樹勢。芽切りは行わず、芽摘みと摘葉で樹姿を整える。
松柏代表種シンパク(真柏)
Juniperus chinensis
ジン・シャリの白骨美と緑葉のコントラストが特徴。樹勢が強く周年作業が可能。針金掛けの自由度が高く樹形作りやすい。
松柏矮性セッカヒノキ(石化檜)
Chamaecyparis obtusa 'Sekka'
檜の矮性突然変異で、節間が極端に短く葉も密。樹高が伸びにくく小品・ミニ盆栽の素材として珍重される。樹勢は通常のヒノキより弱いので肥料・水やりに注意。
松柏矮性ツヤマヒノキ(津山檜)
Chamaecyparis pisifera 'Tsuyama'
サワラ(Chamaecyparis pisifera)の矮性品種で、節間が短く葉性も小さい。ヒノキ科の中でも繊細な葉を持ち、小品盆栽の上品な素材として人気。
松柏山採り適性トショウ(杜松)
Juniperus rigida
松柏の地味派。山採りの古木が好まれ、シャリ・ジン加工に適す。針葉が硬く扱いに注意するが、樹勢は強健。
松柏黒松品種ニシキマツ(錦松)
Pinus thunbergii 'Nishiki'
黒松の樹皮変異品種で、若木から幹肌に深い亀甲状のコルク質の割れ目が現れる。樹勢は通常の黒松より弱めなので、肥料・水やり・剪定を控えめにする。
松柏匍匐性真柏ハイビャクシン(這柏槇)
Juniperus chinensis var. procumbens
真柏の匍匐性変種で、横に這うように枝を伸ばす特性を持つ。懸崖や岩付き、文人木などの個性的な樹形に向き、ミニ盆栽の素材として古典的に愛される。
松柏強健ヒノキ(檜)
Chamaecyparis obtusa
鱗状の葉を密に展開する針葉樹で、扇形に広がる葉枝が独特の景観を作る。剪定耐性が高く、半日陰でも育てられるため初心者にも扱いやすい。
雑木
落葉広葉樹。新緑・紅葉・幹肌の変化が魅力。もみじ・ケヤキ 等
雑木小葉イソザンショウ(磯山椒)
Osteomeles subrotunda
海岸近くに自生する小葉雑木で、白い小花と赤い実が楽しめる。小葉性で節間が短いため、小品・ミニ盆栽の素材として人気。耐潮性があり丈夫。
雑木黄葉イチョウ(銀杏)
Ginkgo biloba
秋の鮮黄色の紅葉が見事な雑木。生命力が極めて強く樹齢千年級の木が現存する。雌雄異株で実 (銀杏) は雌株のみ。葉性が大きく中品-大品盆栽向き。
雑木強健イヌツゲ(犬黄楊)
Ilex crenata
モチノキ科の常緑樹で、小さな葉が密生し剪定耐性が極めて高い。黒い実をつける場合もある。ツゲ(黄楊)とは別科だが葉性が似て呼び名が紛らわしい。寒暑両方に強い初心者向き樹種。
雑木代表種イロハモミジ(いろは紅葉)
Acer palmatum
日本の野生もみじを代表する種。新緑・青葉・紅葉と季節ごとに表情が変化し、葉性は小さく繊細。鹿嶋もみじ・高雄もみじ等の在来品種を含む。葉焼け対策と剪定の時期が要点。
雑木代表種ケヤキ(欅)
Zelkova serrata
雑木の女王と呼ばれる代表種。細枝が広がるほうき立ち樹形が美しい。新緑と黄葉が見所。
雑木品種もみじシシガシラ(獅子頭)
Acer palmatum 'Shishigashira'
葉が縮れて獅子の頭のように丸まる、イロハモミジ系の品種もみじ。節間が短く小品盆栽向き。基本的な管理はもみじ各種と共通だが、葉が密集するため通風確保が重要。
雑木蔓性チリメンカズラ(縮緬葛)
Trachelospermum asiaticum 'Chirimen'
定家葛の矮性葉性品種で、波打つ小葉が密集する。蔓性で5-6月に小さな白花を咲かせる。ミニ盆栽や寄せ植えの素材として人気。
雑木常緑ツゲ(黄楊)
Buxus microphylla var. japonica
ツゲ科の常緑樹で、対生する小さな硬い葉が特徴。生長が遅い分材質が緻密で、櫛や印鑑の材料として珍重された伝統樹。盆栽では小葉性を活かして小品仕立てが映える。イヌツゲとは別科で区別される。
雑木品種もみじデショウジョウ(出猩々)
Acer palmatum 'Deshojo'
もみじの代表的な品種で、春の新芽が燃えるような真紅に染まる。夏は緑、秋にも再び紅葉する三季の見所が魅力。葉性が細かく盆栽向き。
雑木代表種トウカエデ(唐楓)
Acer buergerianum
三角葉が特徴の雑木。もみじより太幹に作りやすく、樹皮の鱗状剥がれが盆栽らしい'時代感'を出す。葉数が多く葉刈り適性高。
雑木複葉トネリコ(梣)
Fraxinus japonica
落葉広葉樹で、対生する複葉が涼しげな印象。剪定耐性が高く、寄せ植えや株立ち仕立てに向く。強健で初心者にも扱いやすい。
雑木品種もみじニオイカエデ(匂楓)
Acer japonicum 'Nioi'
葉や枝を傷つけると独特の香気を放つカエデの品種。紅葉も鮮やかで、香りと見た目の両方を楽しめる。基本管理は他のモミジ類と同様。
雑木強健ニレケヤキ(楡欅)
Ulmus parvifolia
中国原産の楡。葉が小さく節間も短いため、小品・ミニ盆栽に最適。剪定耐性が極めて高く、刈り込みで自在に樹形が作れる。半常緑で温暖地では冬も葉が残る。
雑木代表種ヤマモミジ(山もみじ)
Acer amoenum
新緑・紅葉・幹肌の三拍子が魅力の雑木の代表。落葉樹で休眠期と成長期の作業がはっきり分かれる。葉焼け対策が要点。
花物
花を主役にする樹。さつき・桜・梅・藤 等
花物梅雨の花アジサイ(紫陽花)
Hydrangea macrophylla
梅雨時期を彩る代表的な花木。土壌の pH (酸性で青、アルカリ性で赤) によって花色が変わる興味深い性質を持つ。盆栽では葉が小さく節間の詰まる山アジサイ系が好まれる。
花物常緑アセビ(馬酔木)
Pieris japonica
ツツジ科の常緑樹で、早春に枝先から鈴蘭のような白い小花を房状に咲かせる。全株に毒があり馬が食べると酔うことから「馬酔木」と書く。樹形が自然に整いやすく、初心者向き。
花物代表種ウメ(梅)
Prunus mume
新春の主役、寒咲き花物の代表。花後すぐの剪定と短果枝管理が来年の花数を決める。
花物蔓性オウバイ(黄梅)
Jasminum nudiflorum
名前に「梅」とつくが分類はジャスミン科で、梅とは別属。葉が出る前の 1-3 月に黄色い花を枝に沿って咲かせる。蔓状に伸びる枝が垂れる姿が美しい。
花物春の桃花カイドウ(海棠)
Malus halliana
リンゴ属の落葉樹で、春に桃色の半八重花を枝いっぱいに咲かせる古典的な花物。日本では平安時代から愛でられ、楊貴妃の美しさにも例えられた。姫リンゴと同属で実もつける。
花物品種梅コウバイ(紅梅)
Prunus mume
梅の赤花品種群の総称。樹勢は梅と同等で、花後の剪定と施肥で来年の花を作る。「枝を作る盆栽」の代表で、花後の手入れで一年が決まる。
花物代表種サクラ(桜)
Prunus
春の主役。八重・一重・枝垂れ等の品種豊富。花後すぐの剪定と短果枝管理が要点。短命と言われるが盆栽では適切管理で50年以上維持可能。
花物代表種サツキ(皐月)
Rhododendron indicum
5-6月の花が主役。花後すぐの剪定と植え替えが要点。鹿沼土主体の酸性用土を好む。品種は1,500種以上。
花物早春の黄花サンシュユ(山茱萸)
Cornus officinalis
早春の枝に黄金色の小花を密に咲かせ「春黄金花」とも呼ばれる。秋には赤い実も付き、花と実の両方を楽しめる。樹勢強健で薬用としても利用される。
花物矮性ボケ品種チョウジュバイ(長寿梅)
Chaenomeles japonica 'Chojubai'
草木瓜(クサボケ)の矮性品種で、長寿のような名前から縁起樹として愛される。赤・白・桃の小花を春と秋の年 2 回咲かせる稀少な特性を持ち、盆栽古典の名木種。
花物常緑ツバキ(椿)
Camellia japonica
冬-早春の常緑花物。光沢ある常緑葉で年中楽しめる。花殻摘みと夏期の半日陰管理が要点。
花物蔓性テイカカズラ(定家葛)
Trachelospermum asiaticum
蔓性常緑樹で、5-6月に星形の白花を咲かせ、芳香を放つ。秋から冬にかけて紅葉も楽しめる。樹幹に巻きつかせる仕立てや、寄せ植えに用いる。
花物北米原産ハナミズキ(花水木)
Cornus florida
北米原産の落葉樹で、4-5月に白または桃色の苞葉が花のように見える独特の樹。桜の返礼として日本に渡ったエピソードでも知られる。秋の紅葉と赤い実も楽しめる。
花物蔓性フジ(藤)
Wisteria floribunda
蔓性の花物で、垂れる花房が他にない魅力。蔓の整理と短果枝管理が要点。鉢植えでは肥培と剪定で花付きを維持。
花物花も実もあるが慣習的に花物ボケ(木瓜)
Chaenomeles speciosa
早春から春の花物。赤・桃・白・覆輪等の品種豊富。花も実も楽しめるが慣習的に花物扱い。短果枝の管理が花付きの鍵。
花物梅の原種ヤバイ(野梅)
Prunus mume var. typica
栽培品種の元となった梅の原種で、白い一重花と強い芳香が特徴。樹勢が強健で剪定耐性も高く、盆梅の入門種としても適する。
花物早春の黄花レンギョウ(連翹)
Forsythia suspensa
早春の鮮黄花。3月の彼岸頃に葉に先駆けて咲く。蔓性の長い枝を活かした懸崖・半懸崖が映える。耐寒性が強く育てやすい入門花物。
花物冬の花ロウバイ(蝋梅)
Chimonanthus praecox
冬の花物。1-2月に半透明の黄色花が咲き、強い芳香で新年を告げる。落葉樹で休眠期と成長期の作業がはっきり。
実物
実を主役にする樹。姫リンゴ・柿・ピラカンサ 等
実物蔓性アケビ(木通)
Akebia quinata
蔓性の落葉樹で、5枚の小葉からなる掌状複葉と紫色の花、秋に実る食用可能な紫色の実が特徴。仕立てが特殊で、支柱や枠に絡ませる演出が一般的。
実物落葉実物ウメモドキ(梅もどき)
Ilex serrata
モチノキ科の落葉樹で、葉が落ちた晩秋〜初冬に枝いっぱいに残る鮮やかな赤い実が見せ場。雌雄異株のため結実には雄株が近くにあると確実。冬の落葉景と赤実のコントラストが盆栽の実物代表種として古くから愛される。
実物秋の実カキ(柿)
Diospyros kaki
秋の実物。朱色の実が色付くと圧巻。雌雄異花株で実成りに条件あり。落葉後の整然とした樹形も見所。
実物矮性キンシナンテン(錦糸南天)
Nandina domestica 'Kinshi'
南天の矮性葉性品種で、葉が細糸状に切れ込む特徴的な姿。樹高が伸びにくく、紅葉が燃えるように美しい。ミニ盆栽や草もの寄せに使われる。
実物柑橘最小種キンズ(金豆)
Citrus japonica var. inermis
柑橘類の中でも最小種で、直径 1cm ほどの黄色い実が枝に鈴なりにつく。香りある白花も楽しめ、半常緑のため葉も冬に楽しめる。寒地では冬場の室内越冬が必要。
実物夏実グミ(茱萸)
Elaeagnus multiflora
秋〜冬に赤い小さな実をつける半常緑樹。山グミ・ナワシログミ等の品種があり、盆栽では小ぶりな葉性のものが好まれる。乾燥に強く育てやすいが、実成りで衰弱しやすい。
実物蔓性ツルウメモドキ(蔓梅擬)
Celastrus orbiculatus
蔓性の落葉樹で、秋に黄色い実が裂開して中から鮮やかな赤い種が顔を出す独特の景観が魅力。雌雄異株なので結実には雌雄両株が近くにある必要がある。
実物縁起樹ナンテン(南天)
Nandina domestica
「難を転ずる」の語呂合わせで縁起樹として古くから愛される。羽状複葉の柔らかな葉、初夏の白花、晩秋〜冬の赤い房状の実、葉の紅葉と、四季を通じて見所がある。仏壇飾りでも親しまれる。
実物蔓性ビナンカズラ(美男葛)
Kadsura japonica
蔓性の常緑樹で、夏に黄白色の小花、秋〜冬に赤い集合果(粒が集まった独特の形)が美しい。古名「サネカズラ」とも呼ばれ、平安時代から愛でられた古典的な蔓性盆栽の素材。
実物代表種ヒメリンゴ(姫林檎)
Malus prunifolia
実物の代表種。春の花、秋の実、冬の樹形と一年通して見所がある。実成りには十分な肥培と摘果が要点。
実物代表種ピラカンサ
Pyracantha angustifolia
常緑で赤実が見事な実物。棘があり扱いに注意。針金掛けは新梢が柔らかい夏が最適。
実物半常緑ベニシタン(紅紫檀)
Cotoneaster horizontalis
半匍匐性の半常緑低木で、春に白い小花、秋から冬にかけて赤い実が枝に並ぶ姿が美しい。岩付きや懸崖仕立てが映える。強健で剪定耐性が高い。
実物小実ロウヤガキ(老爺柿)
Diospyros rhombifolia
豆柿系の小型柿で雌雄異株。雌株 (実成り) と雄株 (受粉用) のペア管理が必要。秋の橙赤色の小さな実が美しく、盆栽の実物として人気が高い。